2012年06月 UPDATE

中古住宅・リフォームトータルプランについて。

住宅ジャーナリスト・福原正則

中古住宅・リフォームトータルプランが3月末に発表されて以来、住宅業界をはじめとして各方面に様々な反応が現れている。大きく反応しているのが不動産業界である。不動産業界では、このトータルプランをきっかけとして、どんな動きがあるのだろうか。7月末には不動産市場流通活性化フォーラムから提言が発表されるなど、不動産業界での、中古住宅流通、リフォーム対する様々な施策が動き出しそうだ。不動産業界の現状、今後の目標などがどの辺りにあるのか、我々住宅業界も注目しておきたい。

不動産業者は全国に37万5000(平成21年)有り、そのうち5人未満の事業所が86%と圧倒的多数で、10人以上はわずか3.6%。典型的な小零細規模の業界である。少子高齢化などによる市場の大きな変化で、これまでのような仲介中心のビジネスは先行きが見えなくなった。今回、トータルプランで、中古住宅流通(中古住宅の売買)の活性化が大きく掲げられたことで、大きなビジネスチャンス到来と捉えているのだ。各地で勉強会も盛んに行われている。

 今年4月に不動産流通近代化センターが発表した「中小不動産業の今後の事業展開のあり方」の報告書でも、不動産業界は今後業界縮小が予想される中で、安心安全な住まいへの対応、相続相談など多様なニーズへの対応が求められるとして、顧客密着サービスと適格な情報提供が求められていると指摘。税理士、司法書士、不動産鑑定士、金融機関、リフォーム業者、インスペクション(建物検査)など様々な専門家とネットワークを構築して不動産取引全体をマネジメントする役割が必要だと述べ、新たな業界の姿を描いている。これはトータルプランですすめている宅地建物取引業者のコンサルティング機能の強化、リフォーム提案と同じであり、不動産業界がトータルプランに向かって積極的に動き出した理由が頷けるわけだ。

グラフで見る推移と予測

不動産市場の姿、特に中古住宅流通市場を見ると近年では新設住宅着工戸数は減少傾向にあるが、中古住宅流通戸数は安定的に推移している。社団法人不動産流通経営協会のデータによると2010年で中古住宅流通量はざっと50万2000戸。全住宅流通量(新設住宅着工戸数と中古住宅流通戸数の合計)に占める中古住宅流通戸数の割合は、2000年の23.9%から2010年には38.2%とシェアが増大した。この間新築着工が大幅に減少したにもかかわらず、中古住宅の流通が数量的に増大してきたためだ。しかし、米国などと比較すると日本は6分の1程度と非常に少なく、また住宅ストック数に対する割合も1%以下と非常に少ない水準である。ただ、そのなかで最近の傾向として、築31年超の成約物件比率が2000年の3.8%から2010年には15.8%と大幅に増加。インスペクションや大規模改修につながる動きが出てきた。中古住宅では、新築に比較すると購入者の不安・不便がつきまとうが、その点を解消するための制度やシステムが普及すれば、今後とも順調に中古住宅市場は増大すると予測している。

また、同協会が行った中古住宅購入者への購入前後のリフォーム実施状況について尋ねたアンケート調査によれば、リフォーム済みであった物件は、売主が不動産会社であったケースで10.5%、売主が個人であったケースで5.9%だった。しかし61.8%の物件で、売主、買主いずれかによってリフォームが行われている。

 不動産業の姿を見ると、法人数では平成10年の25万7000社から平成22年には30万1000社と増加傾向にある。宅地建物取引主任者登録者数は、平成20年の2万9000人をピークに22年度は2万1000人、累計で88万8000人である。経営指標としては、平成22年のデータでは営業利益率12.1%、経常利益率9.1%である。就業者1人当たりの付加価値額は平均で1098万円だが、資本金1000万円未満では671万円である。

こうしたトータルプランによる中古住宅流通とリフォームの市場環境整備のための動きとあわせて、国交通省では、昨年10月から、不動産流通市場の活性化を具体的に検討する場として、「不動産流通市場活性化フォーラム」を設置し検討を行ってきたが、6月末に「不動産流通市場活性化フォーラム提言」としてその方策をまとめている。不動産業界の今後のテーマを示したもので、トータルプランと連動する提言や目標設定などが示されている。

 そのなかでは?円滑な不動産取引のめたに必要な情報の蓄積と提供?消費者ニーズに対応できる不動産流通システムの整備?不動産流通市場の活性化に向けた環境整備の3つをテーマとしており、「物件紹介と併せたリフォーム提案」、「インスペクションとリフォームを併せて行うことへの支援」、「住宅履歴と併せたリフォームプランの同時提案」など、具体的な内容を盛り込んでいる。今後、トータルプランと合わせてこれらの施策が打ち出されてくるので注目したい。

*資料:「不動産流通市場活性化フォーラム」