木造建築の可能性を追及する、タツミの総合力

2020/03 特集

いくつもの障害を乗り越え開発した接合金物

接合金具のパイオニアとして第一線を走って来たタツミ。転機となったのは、1995年の阪神・淡路大震災でした。

タツミは、震災以前から構造強度を上げるために木材同士を強く接合する金具を開発していました。しかし、現場では複雑な作業が必要で、思うように販路は広がりません。そこで、簡易な作業でも強度を保ったまま接合できる金具を開発することに。また、いざ製造を開始すると、接合金具が与える負荷の大きさや、金具自体の構造など、様々な問題が出て来ました。何度も問題を検証し、改善を繰り返しながらオリジナル製品にたどり着きました。

そんなときに阪神・淡路大震災が発生。重い屋根瓦の倒壊や木軸工法の脆弱性など建造物に対して多くの問題が可視化される機会となりました。建造物の耐震性に疑問が上がるようになり、全国の会社から問い合わせが殺到することとなったのです。

現場ベースで考え出した、自社プレカット工場の設立

木造住宅の建築現場で実際に接合金具が使われるようになると、今まで扱ったことのない金具に対する大工さんたちの知識不足、さらには誤った接合を施してしまったという話まで出てくるようになりました。

それならば接合金具を木材と組み合わせて現場へ届けようと、タツミは接合金具工法用のプレカット工場を設立します。まだ全国でも少ない取り組みでした。これにより現場の作業軽減が実現、総合的にコスト軽減もでき、多くの受注につながりました。

現在の2棟に1棟が接合金具を使っているといわれています。強度を高めるだけでなく、空間を大きく活用できるため、自由度の高い家づくりが可能となります。さらに、コストを抑えて建築ができることもあり、多くの人に活用いただいている金具となりました。その最初のきっかけは現場で作業する大工さんのためを思っての工場設立だったのです。

木造建築の安全と快適を実現する

阪神・淡路大震災のあとも中越地震や中越沖地震、東日本大震災、さらに熊本・北海道など地震が多発する日本。しかし、お客様が住宅を選ぶ際に重視するポイントは価格やデザインだったりするのです。これまではコスト削減が可能な点や、設計に自由が効くことを伝えきれていなかったのかもしれません。今後は「安心・安全」だけでなく、「地震に強く快適な家づくりの大切さ」をもっと伝えていく必要があるのです。

もうひとつ、日本人の肌に合う木造建築の幅を広げることにも、積極的に取り組んでいきたいと考えています。幼稚園や介護施設、公共施設など様々な場所でタツミの接合金具を使うことで、これまでの木造建築にはできなかった広い空間や高い天井などの建築にも挑戦していきます。

木造の可能性はまだまだあります。人と社会のために役立つ木造建築をこれからも追求し続けていきます。